びぶりおてか

私家版 Caffè Biblioteca

騎龍観音 原田直次郎




今回の所蔵作品展では他にあと2点、特筆すべきが。


これはコンスタントに見る事が出来ており、しかも都度、じっくり時間を取れている。
それでも見飽きる事の無い作品。
龍に騎る楊柳観音の静かにも力強い視線のその先、龍の鱗のうねり。
荒れる気流の中、たった今スパーク寸前の一瞬。
今駆け出さんとする龍の瞳、わずかに風を受ける白衣と右手の柳の枝のしなりが、まさに大きく息を吸い込み一気に吐き出そうという、一瞬の静寂の音となっている。
わずかな一瞬を確実に捉える空間の美が日本画の力なんだ。




東京国立近代美術館