びぶりおてか

私家版 Caffè Biblioteca

生誕140年記念 川合玉堂展 ブロガー内覧会にて③


壁面大展示ケースへうつれば、「ああ、これは・・・」と感慨にはいる瀑布。

瀑布 1909年頃  絹本彩色  玉堂美術館所蔵

應挙の血脈を受けた、潔く直下する滝の流れが美しい。
しばしそこで、滝に打たれる。


紅白梅  1919年  紙本金地・彩色  玉堂美術館所蔵

MOA 光琳の紅白梅図屏風を踏まえた琳派調。
土はの表現が無いのを同じく、こちらは流水さえない。
それなのに、紅梅はふっくらかわいらしく、幹の小鳥のくすぐったい様な動きをする。
金屏風の中に生命感があふれているのを、してやったりの気分で眺めた。
近代日本画が玉堂の手で熟されたんだ。



50代後半から60代。そこにあるのは、これまでのものを消化し尽くし、玉堂の筆にした世界が完成している。もうここからはスピードを上げていくだけ。
日本の静かな自然とそこにある人の営み。小さく書き込まれた人物の生命力が足取りの描写に表れている。

湖村春晴  1935(昭和 10)年 絹本彩色
秋山帰樵  1935(昭和 10)年 絹本彩色
秋晴    1935(昭和 10)年頃 絹本彩色
冬嶺松秀  1936(昭和 11)年 絹本彩色
渡所春暁  1938(昭和 13)年頃 絹本彩色
烟雨  1941(昭和 16)年頃 絹本彩色 山種美術館所蔵
 

雪亭買魚  1938(昭和 13)年頃 絹本彩色
鵜飼    1939(昭和 14)年頃 絹本彩色
春風春水  1940(昭和 15)年 絹本彩色   以上、山種美術館所蔵



滝壺へ落ちていく目線のスピード感があおられる。
急斜面を駆け下りそうな松の勢いは永徳を思い出させる。

松間飛瀑 1942(昭和 17)年頃 絹本・彩色 山種美術館所蔵


残照    1952(昭和 27)年 絹本彩色 山種美術館所蔵
こういう西日、あるな。素直にノスタルジアだ。
友達と遊んでて17時になると町内で鳴らす『七つの子』を聞きながら、この夕日の色を背景に見ていた。「また明日学校だ。。。」


最後に胸を沸かせたのが、三越呉服店美術部の「現代諸家春掛展」の出品作品、
三幅の合作。松を大観が、竹を玉堂が、梅を栖鳳が。
な、なんて贅沢。



ここまでの集中力の果てに、目の前の三幅の存在は、神曲であれば最高のフィナーレ。
一緒に脱皮した気分だ。目頭が熱い。

松 横山 大観
竹 川合 玉堂
 梅 竹内 栖鳳  
1934(昭和 9)年 絹本彩色 山種美術館所蔵
 

後期入れ替えで待ちに待った小松内府に会える♪
重盛の心中が痛々しいほど見て取れる一枚。
この絵と、また濃厚な二人の時間を味わいたい。

小松内府図   1899年  絹本彩色  東京国立近代美術館 
後期展示:7/9~8/4


気がつけばくたくたの体に、山種美術館名物のオリジナル練り切りをいただく。
身にも心にも沁みる。。。
毎回の特別展に併せた限定のお菓子を楽しめるのが、粋なところ。
これも今回のご説明で、毎回いくつものボツ案を出されているくらいに力を入れてらっしゃるのを知り、山種美術館の美意識の高さに感動。かっこいいです。




私は《早乙女》を主題にした「さおとめ」をいただく。
ほんとにかわいらしくて美味しく楽しくいただきました。


次回の速水 御舟展では、是非、《炎舞》の妖艶な炎と”夜の蝶”での練り切りを楽しみにしております。

再興院展100年記念 速水御舟 ―日本美術院の精鋭たち
2013年8月10日(土)~10月14日(月・祝)






2013/06/22(土)
生誕140年記念 川合玉堂 ―日本のふるさと・日本のこころ―
2013年/06/08(土)~08/04(日)
山種美術館


                           fin

生誕140年記念 川合玉堂展 6/22ブロガー内覧会にて①
生誕140年記念 川合玉堂展 ブロガー内覧会にて②