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びぶりおてか

私家版 Caffè Biblioteca

バルテュス展  東京都美術館にておぼえがき

 
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澁澤が、
バルテュス風の色とは、オレンジ色や黄色の褐色系、と青。
陰鬱で、くすんだ色。
だと言っていたが、展覧会の出口にある展覧会グッズ売り場には、
ローマ市街にある、バルテュスが利用していた画材店の絵の具が売られていた。
その色が、オレンジ系の褐色数種と青系色。
 
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バルテュス風の色、—それはオレンジ色や黄色や褐色や青を主調とした、何か暗鬱な、くすんだ、熱っぽさをうちに秘めた、曰く言い難い微妙な色である。」
    澁澤龍彦著『バルテュス、危険な伝統主義者(幻想の彼方へ)』1968年12月『みづゑ』初出
 
 東京都美術館で開催されているバルテュス展
手控え帳の公開や、画題の習作が多く含まれている。
日本画で言えば探幽縮図なわけで、それ等によって画家が何を書きたかったのか、
そのプロセスで、彼らが描く姿が見えてくる。
赤裸裸すぎて気の毒だ(笑)。
 
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エミリーブロンテの『嵐が丘』挿絵の為のデッサンが並ぶ。
キャサリンとヒースクリフの少年期からなる第1部までで、バルテュスは以降の挿絵の制作を放棄したらしい。
大人には興味がないのだ。
 
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是等の作品群について澁澤は、『幻想の画廊から』に詳しく解説しているのが、印象的だったので、かなり見入ってしまった。1室目で体力消耗。
 
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 真っ赤な布の装丁。
 
エミリーブロンテは30歳という短命の生涯を父親が勤める牧師館の中で生きた。
その人生の経験値の中で書かれた小説の世界観と、この挿絵の世界観。
澁澤の視点で捉えて行くとなかなか興味深い。
かといって、『嵐が丘』を読む気にはなれないけど。。。
 
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《空中ごまで遊ぶ少女》1930年 80×65㎝
胸を大きく引き開き、真直ぐに伸びた腕。
高く飛ばされた独楽を頂点にした二等辺三角形に深い呼吸がある。
これ、好き。
 
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《キャシーの化粧》1933年 165×150㎝
                   《鏡の中のアリス》1933年162.3×112㎝
 
度々出演している自画像はどれも男前で三次元だ。
 
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”夢見る少女”たちの連続。
傷のないピンと張った皮膚で、真直ぐに伸びる臑を立てる。
 成長する心体をもて余すしどけなさは、その肢体と心の含有物か、
可視的要素なのか。大人の目はそのリアルを隠す。存在しなかったごとくに。
 
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             《美しい日々》1944-1946年 148×200㎝
 
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 《夢見るテレーズ》1938年 150×130.2㎝
                            《おやつの時間》1940年 72.9×92.8㎝
 
美術雑誌『みづゑ』1968年澁澤龍彦による連載「人口楽園の渉猟者たち」の最終6回目に、バルテュスへのエッセーが書かれている。
これが、『幻想の彼方へ』/バルテュス、危険な伝統主義者
この連載の際に、各画家達に近作の写真を求めた様だが、バルテュスについては、ついに要望に足る物が送られては来なかったという。
芸術家の家庭で育ったバルテュスの3歳上の兄は、有名なフランスのサドの研究者だそうだ。対応の悪さも、その点の通ずるものでカバーされていたのだろうか、評論は美術専門家レベルに客観視と分析がなされている。
 

      

 

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金魚。
テーブルに首が乗ってるのかと思って、ちょっとびびった。
 
 
f:id:itifusa:20140429234739j:plain《地中海の猫》1949年127×185㎝
 個人的にはこれが一番不思議な画。
 
 
f:id:itifusa:20140429234752j:plain《目ざめ(1)》1955年 161×130.4㎝
 
今回の展覧会で、『街』(1933年)と『サンタンドレ商店通り』(1952-54年)
『山』(1936年)については、習作のデッサンのみで、本体は参考画像のみだったのがちょっと残念。
 
 
 
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グッズ販売で購入を悩みに悩んだ蜂蜜瓶。>荷物が多かったんですもの。。。
生前のバリュテュスが毎朝シャリシャリの蜂蜜をパンに塗って食べていたとのことで、節子夫人と相談を重ねて決めたグッズの一つだそう。
白のハチミツはカナダ産。
瓶には『ミツ』のワンシーンがプリントされており、完食後もリサイクル可能。
当然、『ミツ』↔︎蜜 の引っ掛けあり。
 
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東京都美術館2014年4月19日(土)~6月22日(日)

京都市美術館2014年7月5日(土)~9月7日(日)

 

※会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

 

《引用》

澁澤龍彦

幻想の彼方へ』/バルテュス、危険な伝統主義者 (1968年12月)

幻想の画廊から』/夢見る少女ーバルテュスの場合 (1965年7月)