高野山の名宝@サントリー美術館
本年最大規模の台風 "ミツバチ君" 来襲の中、究極のオフピークを狙って、
運慶フルカバーの為には、いつかは高野へ八大童子像に逢いにゆかねばなるまい。と思っていたが、先方からお運び下さったので、早々ご挨拶に。
気持ちが急いたせいか、童子さん等がおわす第3室へ直行してしまった。サントリー美術館てボリュームは丁度よくて好きなんだけど順路へんだよ。
第二の目的としていた聾瞽指帰を求めて1室へ。
国宝『聾瞽指帰』 空海筆 紙本墨書 上・下巻 8~9 世紀金剛峯寺写真が無いので、図録より。
空海の真蹟というこれは、仏教の教えがどれ程優れているかを説いたもの。
芸術としての書はまったく解らないが、筆を追って入り込めたら「好きな書」ということにしている。
当然、読めもしないが、序文より文字を追って行くと、章立て毎に筆が乗って来る中盤から、筆勢が上がり力が入っていくのがわかる。
筆を直し墨を付けるタイミングや、段落のクールダウンを考えてたらこちらまで熱くなってくる。
国宝『諸尊仏龕』 1基 木造素地 中国・唐時代(8世紀)金剛峯寺
想定外の嬉しい出会いだ。
白檀の仏龕。美しい。
檀像彫刻の技術が存分に発揮されている。三尊の指先など一部の惜しい欠損を除けば、さすが檀像、1200年以上を経ているとは思えない状態。
第3室の円形に大きく仕切ってある中に、お不動産と八大童子像がガラスケース無しで、背後には廻れないが、乗り出せば限りなく間近で見れる展示。なんと寛大なんだろう。
なにより顔の造形が秀逸なお像だちで、忿怒の表情もより人間的。
ただ、腰の辺りは思ったより大分すっきりしたラインだった。
運慶のあの、重心の入った肉感のある胴回りという訳ではなかったかな。
順路を誤ったことで先に八大童子にエネルギーを使っていたにも関わらず、 甘いものは別腹とばかり、図らずも空海VS運慶 (あくまでも個人的に。快慶の方がボリュームあるし。。。) となってるこの展覧会。 待ちに待った甲斐があったわけだ。 これでまた、高野山への足が遠のいてしまうかなと思ったが、益々あのお山の空気に触れてみたくなった。