敦煌1日目7/31–⑦平山郁夫展内覧会
平山郁夫展覧会開幕式典に出席後、そのまま内覧会。
展覧会は平山郁夫シルクロードコレクションより、240点が出品されている。
また、シルクロードコレクションだけでなく、スケッチや、砂漠行くキャラバンのシリーズなど、油彩画のクローンも運び込まれ展示。
平山郁夫シルクロードコレクションからの作品の選定、及び陳列はすべて敦煌研究院の研究者によるもの。
陳列方法は日本でスタンダードな、時代毎、地域毎といったルールにはとらわれず、彼らが今考え、伝えようとしてる「西域シルクロード」が表されているようで、とても興味深かった。
展覧会一番最初のケース内には、地中海文明(西アジア・アフリカ大陸など)の遺物と、非地中海文明(ローマなど)を概観するような展示となっている。
前田先生の非公式解説がスタート。そばにいればどんどん質問。そうすれば時間が許す限り(なくても)解説や、遺物の見方などを教えてくださる。
南イタリアから出土したキュベレ女神の像!
ならば、と、無理やり仏教彫刻のエリアへ先生を引っ張っていき、もはや、ざっくり「注目すべきは?」などと煽る煽る。
仏伝の浮き彫りは、莫高窟壁画などでも多用されている主題なので、ヘレニズム・西域の影響や、構図の関連性を見るのにも興味深い作品の数々だと思います。
化粧皿など、女性が興味を持ちそうなブースになっている。
平山郁夫シルクロードコレクションの多くは、盗掘や略奪され、国内外に流出した美術品を保護したものも含まれる。そのため、見栄え良く(彼らにとって)関係のない遺物同士をつなぎ合わせるなど、無理があったり、出土地のはっきりしないものもある。それを踏まえても、長く続いたシルクロード交易のダイナミックな展開は、いろいろなことを教えてくれる。
アレクサンドロスのコイン(前4世紀東地中海地域出土)
カドフィセス金貨(2世紀ガンダーラ出土)
カニシカ金貨(クシャン朝2世紀 中央アジア出土) おもて面のカニシカ王(写真)は、拝火壇に右手をかざす姿。騎馬民族の王族の装束。裏面はおそらく仏陀立像と思われるタイプ。
弥勒菩薩交脚像(2−3世紀 ガンダーラ)
平山コレクションを代表するお像だと個人的には思っている。敦煌であえて嬉しい。
西域風の毛髪の表現と頭頂に結い上げるスタイル。インド風の右肩出しにおもえるが、交脚像は遊牧民族王侯のスタイルによるものということなので、時代が下った偏袒右肩とは異なるのかな。
衣文襞もたっぷりとしていてギリシア風が美しい。
今回の展示は日本での展覧会や常設展ではあまり公開される機会の少ない作品も多数含まれており、充実したものとなってた。
敦煌石窟文物陳列中心(敦煌石窟陳列センター)の常設展示も。
石窟壁画に使われた顔料の取り扱いは、現代の中国ではすでに失われており、大陸から日本へ輸入された技術が唯一の継承だった。平山氏の基金で東京藝大へ留学生を招くことで、その技術を再び中国へ伝えることができた。
文化の交流は、政治を超えて、本当に大切にしなくてはいけないと思う。
この、敦煌石窟文物陳列中心(敦煌石窟陳列センター)は、平山氏手引きによる竹下首相の即断で無償援助による建設がかなった建物。箱もの交流もここではちゃんと活かされております。
文化費に意義を与えられた豊かな日本はどこへ行ってしまったんだろう。
展覧会は本年10月末まで。この展覧会や敦煌石窟を見学する日本からのツアーが、各所で組まれることになっています。
現地ツアー会社の日本語ガイドもとても優秀なので、敦煌だけでもかなり充実したツアーになるかと思います。
目下、鎌倉市が協賛するツアーが10月に予定されています。ご興味のある方は是非敦煌へ足を運んでください。