びぶりおてか

私家版 Caffè Biblioteca

横浜美術館 「横山大観展 良き師、良き友」を観てきた。

岡倉天心生誕150年・没後100年記念 /『國華』創刊125周年 

「横山大観展―良き師、良き友」

横浜みなとみらい 横浜美術館 2013/10/5(土)~ 11/24(日)

 

まとまった大観の絵を見るのは、個人的には

2008年に国立新美術館で行われた『没後50年 横山大観展』以来。

f:id:itifusa:20131005194945j:plain

「夜間特別観覧の為、撮影許可を頂いています。」

 

今回の展覧会は、章立てと各セクションの展開が個性的。

最初に頂いたレクチャーでも説明されていた通り、「あの、大観」ではない。

広く定評を得てしまっている大観だからこそ、というキュレイター氏の愛をひしひしと感じつつ。

 

第一章 良き師との出会い:大観と天心

 §1 天心との出会い

 §2 日本美術の理想に向けて

第二章 良き友ー紫紅、未醒、芋銭、渓仙
    大正期のさらなる挑戦

 §1 水墨と色彩

 §2 構図の革新とデフォルメ

 §3 主題の新たな探求

第三章 円熟期に至る

 

f:id:itifusa:20131006205045j:plain 

向かえてくれるのは、かなり大きなエントランスパネルの40歳なりたて若き大観。

40年後はこんなんなちゃいますが。

f:id:itifusa:20131006211656j:plain かわいいじーじ。

 

 

第一章 良き師との出会い:大観と天心

f:id:itifusa:20131006205140j:plainかくぞー先生・・・。

 

ここが一番好きな時代。

古画の空間構成の美と、新しい奥行き表現。

そして化学研究が進んだ画材の駆使。

近代画壇の揺らぎなんて、良い意味で温故知新を超えているんだ。

 

f:id:itifusa:20131006205226j:plain

 

《猿廻》《村童観猿翁》のいずれも独特な童の表現。

なぜそんな表情をするんだ・・・と、食い入ってみてしまう。

でも蘆雪の童子表現より少し、愛がたらんような・・・二十代なら仕方あるまいか。

ああ、《無我》のぼっちゃんみたいなのもいます。

 

《猿廻》絹本着色 一幅 1892年 東京藝術大学 

《村童観猿翁》絹本着色 1893年 東京藝術大学

《絵師草子》(模写)紙本着色 1890-96 駒場博物館

《四季の雨》絹本着色 四幅対の内 春・夏 1897年 東京藝術大学

 

f:id:itifusa:20131005190404j:plain「日本美術の理想に向けて」

屈原厳島神社蔵  10/5-10/16

こちらは展示期間がかなり短い。

もう、ここ最近では傷みが激しく、なかなか貸し出されないそう。

残念ながら二重のガラスに映り込みが激しく、全景を堪能したり、細部をじっくりというのは難しい展示でしたが、負けない。

展示ガラスぎりぎりのところで手をかざしてへばりついて観てきました。

土坡の表現と漂う雲気、重い風。

江戸期をみごとに脱皮した表現がドラマチックなんだ。

 

屈原》絹本着色 1898年 厳島神社

《柳下舟行》絹本着色 1907年頃 播磨屋本店

《瀑布四題》絹本墨画淡彩 四幅対の内、一、二 1909年 富山県水墨美術館

 

残念ながらちょっと怖い《迷児》は後期展示

 

 f:id:itifusa:20131006205206j:plainかくぞー先生から、新婚ボケの秀麿君宛。

軸に表装し替えたいね。

 

 

第二章 良き友ー紫紅、未醒、芋銭、渓仙
    大正期のさらなる挑戦

f:id:itifusa:20131006205338j:plain《長江の巻》1914年 東博

 

日本画の画題の定番、虎渓三笑図、瀟湘八景図、瀑布図や、寒山拾得図。

西洋画の構図を踏まえた切り口が新しくて、見応えあるリアリティがそこにある。

デザイン化も琳派のそれだけでなく、平面的な人物画でも生身のもつ精気がある。

子どもの頃大切にしていた文学集の、質の良い挿絵みたいで大好きだ。

それは未醒もそう。

そう、今回実は未醒の作品がとてもいい♪

 

《虎渓三笑》 絹本墨画 三幅対 1912年 横浜美術館

《長江の巻》 紙本墨画 一巻 1914年 東京国立博物館

《雲去来》 絹本墨画 六曲一双 1917年 熊本県立美術館

《秋色》 絹本着色 六曲一双 1917年 

《洛中洛外雨十題 堅田暮雨》 絹本着色 一幅 1919年 

《洛中洛外雨十題 辰巳橋夜雨》 絹本着色 一幅 1919年 

《洛中洛外雨十題 糺の森秋雨》 絹本着色 一幅 1919年 

《夜》 絹本墨画 一幅 1922年 横山大観記念館

《黄初平・趙丙》絹本墨画 双幅 1915年 横山大観小杉未醒

《北馬南船帖》紙本墨画 一帖(二十二図)1923年 小杉未醒 

 ※こちらは図録に全画掲載

《焚火》 絹本着色 二曲一双 1914年 豊田市美術館 

f:id:itifusa:20131005191840j:plain

 

《列仙屏風》 絹本着色 六曲一双 1915年 小杉放庵記念日光美術館

f:id:itifusa:20131005193046j:plain

これは初めて見た。

照明の良いところで、もっとじっくり見たい。

 

今回のサブ収穫は、当然未醒の初めて見る作品。

そして、渓仙が以外に大雅入ってて、いいー。勉強不足ですみません。

 f:id:itifusa:20131005192836j:plain

 

f:id:itifusa:20131005193617j:plain

《千ノ興四朗》 絹本着色 六曲一双 1918年 野間文化財団

そにかくやりすぎ。

琳派の金屏風なみにインパクトがあって、わびさびの騒ぎではない。

それがポイントなんだろうか。

わかんない。改めて勉強不足でごみんなさい。大観どの。

 

今回改めて痛感したのは、

 

『どうか、だれか、

小杉未醒〜放庵の大回顧展、

企画してくださーーーーーい!!』

 

f:id:itifusa:20131006205438j:plain 

もう最後には、山口晃氏画の放庵すら、愛おしくなっていた。

 

最後、大観で締められず、申し訳ございません。

 

岡倉天心生誕150年・没後100年記念 /『國華』創刊125周年 

「横山大観展―良き師、良き友」

横浜みなとみらい 横浜美術館 2013/10/5(土)~ 11/24(日)

  前期:10/5(土) ~ 10/30(水)

  後期:11/1(金) ~ 11/24(日)