びぶりおてか

私家版 Caffè Biblioteca

格好良かった方のこと。

丸の内は二重橋から東京駅をつっきること八重洲へ至り、日本橋高島屋へ。

浅田真央ちゃんではない。「美食の京都展」だ。

 

地下鉄に乗って突っ立ってもいられないので、歩いて来てしまった。

少しノイローゼ気味なんだろうか。。。

こういう重い病を持った京都フリークの関東人である。

 

日本橋高島屋の8階催事場への直通エレベーターは、てっきりライバルだらけと思いきや、筺の中の老若男女口々に

「美食の京都店ですって。同じフロアなのね。」

「帰りにみてみましょ」

みんな「真央ちゃん」でした。。。

 

素晴らしきかな京都展は、好きなお店と京都から新幹線ではなかなか買って帰りにくいものまで、京都のデパ地下より充実しており、楽しいったら見る間に両手に荷物。

 

前々から一度試してみたかった胡麻やさん、どの催事でもお客さんがたくさんでなかなかゆっくり見れなかったのだが、たまたま店員さんもお手隙の方が居たので、国産白ごまを購入。

お会計のはっぴゃくろくじゅう。。。。50円玉が手から滑り落ち、鈍くも転がり、隣のお客さんを越えて行く。

横で接客中のおねーさんの靴にぶつかった様子だったので回り込んで取りに行くと、

 あれ、無い。

お店の人も、おねーさんも、転がったのを見ていたので一斉に50円玉を探し始める。

が、、、影も形もない。

商品台の下に入ったと誰かが言ったので、台の下の段ボールやらを引っ張り出して、店員さんの大の男2人とおねーさんが、50円玉を探して床を這いつくばる。

「あったか?」

「こっちかもしれない」

「こっちもみてみる」と夕方の催事場で50円玉捕物帳が始まってしまった。

 

国産白ごま2袋の為に、この大の男を這いつくばらしておく訳にもいかないから、

「もういいです、たぶんそこには無いと思います。50円ではないかもしれないし」と、どうにか制止しようにも、どうにも聞き入れてもらえない。

「もういいですから、料金はきっちり別に払いますから」

半泣きで汗をかきながらお願いしても、おろおろしながら、まだ荷物をどかしたりしてる。。。

 

そこへ、通路を挟んだ斜向いの

半兵衛麸のお兄さんまでもが

「どうしました?お金おとさはった?こちらに来たかもしれないから探してみましょ」と参戦の兆しをみせる。みんないい人過ぎるってば(涙)。

 

嫌ぁ〜。お願いもうほっといて。ほんとに泣き出そうかと思った次の瞬間。

 

「ありましたよ!50円でしょ。ほら、こっちに転がってました」

 

と間髪を容れずに半兵衛麩のお兄さんが、明るく声を上げる。

 

 いや、さすがにそんな方まで転がりませんて。。。。

 

と思いつつも、藁をも縋るとはこの事。

助け舟だ。

胡麻屋の兄さん達も腑に落ちない様子ではあったが、とりあえずこの騒ぎを止められる。

 

頼む、君等もこの船に乗ってくれ。。。

 

その50円玉が本当に私の手から滑り落ちたものなのかは、神のみぞ知る事の顛末。

だがしかし、あの、半兵衛麩さんの冷蔵庫の下までコインが勢い良く転がる催事場の床材なら、高島屋は改修すべきだ。。。

 

あの半兵衛麩のお兄さん

江戸っ子目線で言えば、経験と判断力が物を言う火消しの素早さ。

いや、これが京都の町衆の「粋」なのだと、格の違いを見せられた気がする。

この意味、この顛末、こっちで商売をやってる人に、どれだけが理解できるだろう。

何百年もの間、お客さんに物を売る。商いを続けるって、こういう事なんだと思う。

 

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感謝の気持ちいっぱいで、半兵衛麩生麩を2本買って来た。

いつもお弁当に入っている一切れを大事に楽しんでいたが、

いつか、好きなだけ食べたいと思っていたので、嬉しさも100倍だ。

おにーさん、ありがとう!

 

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保冷剤もなんと、半兵衛麩仕様。

このこだわりに惚れ惚れする。